ポリシー

かつて花作りを仕事にしていて、「この仕事は誰の役に立っているんだろう」とひどく悩んだことがあります。

自分の花がどんなに高い評価を受けても、この疑問と不安はなくなりませんでした。

いろいろあって精神が衰弱し、花作りをやめなければならないところまで追い込まれました。

衰弱した状態で約13年間世間をさまよいました。

さまよった中で、やはり同じように衰弱している人たちに出会いました。

そうしてるうちに、女性の8割くらい、男性の1割くらいの人が、「花に癒される」「花で元気になる」という感覚を持っていることを発見しました。

恥ずかしい話ですが、花作りをしながら、私はそういう感覚を持っていない側の人間だったわけです。だから仕事の目的が見えなくて不安だったんです。

でもこういう花に対する感受性って多分生まれつきで、いまさら身に着けられるものでもないような気がします。

とはいえ、私は植物を育てることに関してはそれなりの技術と感性を持った人間だと思っています。

であれば、私に与えられた役割は簡単です。

「元気な花を作る」です。衰弱した花では人を癒したり元気にしたりできませんから。

まあ花にも色とか形とか色々ありますが、それ以前に花が生き物として元気で生き生きとしていることが大前提です。

この植物は、何をすれば、もしくは何をしなければ、力を発揮して育ってくれるのか、模索の毎日です。